想い 



 

      自分達の背丈ほどある藪の中、エクソシストの神田ユウとラビ

   任務を終えた2人は帰路についていたが、この藪森を通り抜ければ

   町に出られるという情報を得たので、町に出て汽車に乗り込み教団

   に戻ろうとしているのだ

   AKUMAとの戦いに疲れきった上、果て無きこの藪の道を歩き続

  けて体力も気力も限界にきていた

   そんな時、先を歩くラビが叫んだ

  「ユウー!海さ 海っ!!」

   青々とした海がいっきに眼の中に飛び込んでくる

   ようやく藪森から解放され、2人は安堵の表情をうかべる

   海岸線をたどっていくと小さく町が見えた

   神田が眼を細め町のある方向を確認しているとラビは海に向かって

  走り出し教団服とブーツを脱ぎ捨てズボンの裾を膝までたくし上げ

  ると海の中にずんずん入っていった

  「うひょー!気持ちいい!!」

   幼子のようにはしゃぎながら海水と戯れるラビへ視線を変える神田

  (少し休んでいくか・・・)

   神田は浜辺に腰を下ろし、教団服の前ボタンを外し

   六幻を腰のベルトから抜き自分の横に寝かせた

  アンダーシャツは着ているものの、海風がシャツを通り抜け素肌に

  伝わってくるのが心地よかった

  ユウー!ユウもおいでよー 気持ちいいさぁ~」

  ラビが手を振りながら神田を呼んでいる

 「俺はいいっ!」

  神田は返事をしながら視線をラビから地平線に移す

  2人が合うのは久し振りだった

  お互い違う地での任務でかなりの時間すれちがっていた

  今回の任務も現地で合流する事になり

   ラビが現地に着いた時には神田は

  すでに到着しいてAKUMAとの戦闘真っ最中だったのだ

 「そう言わないでおいでよ~」

  ラビは神田の前にたちすくんだ

 「うるせぇ」

  キリッとした眼差しをラビに向けたとたんラビが神田の腕を掴んで

  立ち上がらせようと引き上げた

  神田はバランスを崩し、よろけそうになったが

   ラビのもう片方の手が   

  神田の腰を支え抱き寄せた

  相手の瞳に自分の顔が映るほど急に近づくお互いの視線 

   

 「なっ! 離せっ!」

  神田は慌ててラビから離れようとした

 「やだよ 離さない やっとユウに逢えたんだ」

  そう言うとラビは神田を抱きしめた

  華奢な神田の細い身体の感覚が戻ってきた瞬間を

   ラビは愛おしげに力を入れ抱きしめる

 「ユウ 逢いたかったさ いつもいつもユウの事考えていたさ」

  耳元でささやくようにラビが言った

  ラビはいつだって自分の気持ちをストレートにぶつけてくる

  神田は自分だってラビに逢いたかったし

  思いはラビが自分を思ってくれているのと同じだ

  素直に自分も相手に気持ちをぶつけられればどんなに楽か

  それが出来ない自分に腹が立つこともしょっちゅうだ    

  気持ちと裏腹にいつもラビにそっけない態度そとってしまうのに

  それでもラビは自分を大切に思ってくれる

 「・・・・・」

  神田はささやくラビの言葉に返事はしないが

  眼を閉じ両腕をラビの背中に廻し力を入れた

  海風が2人を優しく包み込む

  時間を忘れお互いの体温を感じていた

  波の音だけが時を刻んでいるようだ

 「・・・ユウ」

  ラビが両腕の力を緩め神田の瞳を見つめた

   いつ見ても切れ長の黒い瞳はどこか寂しげで

   何とかしてあげたくなる

 「海にはもう入らないのか?」

  吸い込まれそうなエメラルドグリーンのラビの瞳を見つめながら

   神田は口をひらいた

 「海よりもユウとこうしてるほうがいいさ」

 「海に入ろうと俺を誘いに来たん・・・」

  神田の言葉が終わらないうちにラビの唇が神田の唇に触れた

 「ユウ  好きさ」

  2人は溜め込んでいたものを一気に吐き出すかのように

   お互いの唇を求め合った

  長い長いくちづけに神田は恥ずかしくて身を捩る

  ほんのりと赤くなった顔を見られたくなくてラビの胸に顔を埋める

  そんな仕草をする神田が愛おしくなるラビは

   再び細い肩を抱きしめた

  神田は今日、この時は素直になれる自分がいる事に気づき、顔を上げた

 「・・・ラビ・・・」

 「ユウは何も言わなくていいさ・・・」

 「俺・・・お前の事・・・」

 「・・・わかってるさ ユウの気持ち」

  微笑みながらラビは神田の前髪を右手でかき上げると

    額にくちづけてきた

 「・・・俺も お前に逢いたかった・・・」

  ようやく大切な相手に気持ちを言葉にして伝えられた神田

    初めて愛おしい大切な人から想いを告げられたラビ

   

  2人は再び唇を重ね抱きしめあった

  しかし、ラビは言葉通り神田の自分への気持ちはわかっていた

  言葉として告げられなくてもちょっとした仕草や態度でお互いの

  気持ちが通じている事を・・・

 

 「離れ居ても・・・いつも一緒さ」

 「あぁ・・・」

 「ユウはいつもオレのものさ」 

   ラビはちょっとからかった言い方をしてみる

 「うるせぇ・・・」

   

 

  気がつくと海は夕陽に染まり始めていた

 「そろそろ戻らないとな・・・」

  ラビは脱ぎ捨ててた教団服を纏い、ブーツを履き始めた

  神田も教団服の前ボタンを留め、六幻を腰に挿す

  微笑みながら神田に近づいたラビは神田の肩に手を廻し

   二人は寄り添うように町に向かって海岸線を歩き始めた

 

 

 

  <<あとがき>>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    はじめて書いたラビュ小説です・・・

    という事でかなり文章がいい加減です(侘)

  ラビュは比較的ほのぼのしててときめきがあるものが好きです

  ラビは頭がいい子ですからシャイな(日本男児特有の)ユウの気持ち

    なんかとっくに解かっているんですよね 

    それでも自分の気持ちをグングンユウにアピールする 

    「好き」「逢いたい」をストレートに言うのは

  ピュアなんでしょうしお国柄(国籍不明だが欧米人でしょうから...)

  なんでしょうね・・・

  このふたり、ホントに似合いのカップルだと思います  

    今さらながら・・・

 

  2007年 7月   るきと