Happy Valentine



日付が替わる時刻、

小さな駅のプラットホームに、エクソシストの神田ユウとラビがゆっくりと姿を現した。

ふたりに同行していた 探索 ( ファイ ) 部隊 ( ンダー )は、

ラビに同行していた 探索 ( ファイ ) 部隊 ( ンダー )が怪我を負ったため、

神田に同行していた 探索 ( ファイ ) 部隊 ( ンダー )が、

怪我を負った彼を連れて一足早く教団にもどったので、

神田とラビはふたりきりで教団に、戻る事になってしまった。

薄暗く小さな駅のホームには、流石に人がいない。

列車が到着するまでの間、少し待ちぼうけの状態になることに、ふたりはいささかがっかり

していた。

しかも、雪がちらついてきたものだから、なおさらだ。

「雪がふってきたさ」 

ラビは空を仰ぎながら言った。

「あぁ 冷えるな・・・」

白い息をはきながら神田は答える。

「早く列車こないかな・・・」

ふたりは手に持った大きなトランクケースを地面に置き、神田は壁にもたれかかった。

ラビは地面にしゃがみ込み、自分のトランクケースを広げると、中から小さな紙の包みを取り出した。

紙包みを大事そうに両手につつみ、立ち上がって神田の前に立つ。

「ねぇ ユウ・・・」

ラビは上目遣いに神田をみる。

「なんだ」

「これ・・・・」

ラビはてのひらに包んだ紙包みを神田に差し出した。

神田は不思議そうな顔をしてラビから紙包みを受け取り、ラビの顔をじっとみる。

ラビはニッコリと微笑んで「開けてみて」と促した。

神田はゆっくりと紙包みをあけると、小さな星の形をしたチョコレートが3つ姿を現した。

「今日はバレンタインさ」

ラビは神田の顔を覗き込む。

「お前、バレンタインって女が男にチョコをやるもんだぜ」

神田はラビの顔をみて口尻を上げた。

「違うって。好きな子にチョコを渡して気持ちを伝える日なんさ」

「好きな子って・・・」

ラビの言葉に神田は少し照れくさそうにラビの視線から眼をはずした。

「オレ、ユウが好きさ。大好きなんさ・・・」

ラビはほんのり頬を赤く染め神田のことを見つめた。

ラビの言葉に、神田はチラッとラビに視線を向けた。

「日付が替わる前に渡せてよかったさ」

そうラビに言われて神田はホームの壁に掛かってる時計を見る。

23:47

「甘いもんは好きじゃねぇ。」

ラビは期待していた言葉が神田から返ってこないのに、少々がっかりし、俯いた。

「でも・・・お前の気持ちはありがたく受け取るぜ」

ラビは瞳を大きく開け驚いたように神田に視線を向けた。

「ユウ ありがとさ」

安心したように呟くと、ラビは神田の隣に並び、背中を壁に預けた。

ふたりの間にしばらく沈黙が流れる。

神田は、てのひらにあるラビからの紙包みをながめた後

そっと紙包みを開き、星型のチョコレートをひとつ口へ放り込んだ。

その様子を見ていたラビはニッコリと微笑む

「そんなに甘くないっしょ?」

「・・・・・・・・・」

「おいしく・・・ない?」

ラビの顔はすこしくぐもる。

「・・・なぁ」

神田は背中を壁から離し、身体の向きを変え突然ラビの胸ぐらを右手で掴み、

空いてる左手で、ラビの頭に巻いてあるバンダナを下げラビの眼を覆った。

「な、何するんさっ!」

ラビは自分の胸ぐらを掴む神田の手首を掴んだ。

「黙れよ」

神田は低い声でそう言い放つと、ラビの唇に自分の唇をそっと当て、ラビの唇を啄ばんだ。

「ユ・・・」

少し唇が離れると、ラビは眼を覆ったバンダナを首まで下げ神田の名を呼んだが、神田の唇が

再び覆い、呼んだ神田の名はかき消された。

神田の舌はラビの口の中に滑り込み、奥にあるラビの舌を見つけるなり絡みつきラビの舌も

すぐに反応して絡み返す。

「ん・・・・んっ」

「・・・あっ・・・はぁっ」

ふたりは浅い呼吸をしながら、舌を絡ませ合い、ラビは神田の背中に腕をまわし、

ゆっくりと神田の滑らかな背中を撫で、腰を抱いた。

神田は掴んでいたラビの胸ぐらから手を離しラビの頬に両手をあて、ラビの顔を自分により近づけ

更にラビの唇を吸い上げる。

「ユ・・・ユゥ・・・」

ようやく唇が離れると、神田はラビの額に自分の額をつける。

「バレンタイン。お前にやったぜ」

お互いに気持ちが通じ合っているんだとラビは感じ、不器用な神田の言葉に、はにかみながら

神田に笑顔を向けた。

「チョコの味、したさ・・・」

「日付が替わる前でよかったな・・・」

ふたりで壁の時計をみる。

23:57

「えへへ・・・ぎりぎりさ」

ラビは神田の腰に回してる腕を背中に戻し、力を入れ抱きしめる。

神田はラビの肩に顔を埋めラビの背中に腕を回した。

「ユウ・・・少しこのままでいていい?」

「列車が来てもか?」

「もう、列車に乗れなくてもいいさ・・・」

「アホ・・・」

「Happy Valentine・・・ユウ」

気が付くとふたりの間の時間は止まり、互いの温もりを幸せだとと感じとっていた。

 

 

*postscript*

バレンタインという事で、即席で作りましてお粗末様です。

やっぱりバレンタインなので、ラビュにはラブラブでいてほしいですね。

不器用なユウの告白がかわいいかな・・・って思ってます。

ラビュバンザイ!!!  ラビュ大好き!!!

                                                          るきと        2008/2/ Happy Valentine!!